書名:天皇家の執事
副書名:侍従長の十年半
著者:渡邉允(わたなべ・まこと)
出版者:文藝春秋(文春文庫 わ16-1)
出版年月:2011-12
ISBN:978-4-16-780161-8
侍従長が見た平成の天皇、皇后の日常
侍従長を十年半務めた著者が、平成の天皇、皇后の日常、宮中や訪問先での活動の実際と、その背景を記した回想録である。単行本は2009年に刊行され、文庫版では東日本大震災後の状況を踏まえた前書き・後書きが加えられている。
明仁天皇は朝6時には起きていて、病気のときは別として、起床時間を変えたことがない、という日常生活に始まり、宮中での行事、外国、国内各地への訪問のありようと、そこに込められた明仁天皇の考えが、間近に接した側近の目を通して綴られている。
文庫版の刊行は、2012年に皇室制度に関する有識者ヒアリングが始まる直前の2011年12月。文庫版のための後書きでは、皇室の将来についての提言を一つだけ、私見として述べておきたいと前置きして、「例えば、内親王さまが結婚されても、新しい宮家を立てて皇室に残られることが可能になるように、皇室典範の手直しをする必要があると思います」と記している。明仁天皇の最側近による提言として、重い意味を持つ。
皇室制度を考えるとき、憲法や皇室典範、国会論議だけでは見えない領域がある。天皇、皇后の日常を支える実務、側近の役割、宮中の空気、象徴天皇制が日々どのように営まれているか。本書は、その内側を、侍従長の経験から読むことができる一冊である。
著者について(同書による)
渡邉允(わたなべ・まこと)
昭和11年東京都生まれ。東大法学部卒業後、34年に外務省入省。駐ヨルダン大使、中近東アフリカ局長、儀典長などを歴任。62年には、天皇皇后両陛下(当時は皇太子同妃両殿下)の訪米に随従。儀典長だった平成6年には両陛下の欧米訪問に随行した。7年に宮内庁に移り、式部官長を経て8年12月に侍従長。19年6月に退任し、現在、侍従職御用掛。曾祖父は第5代宮内大臣の渡邉千秋。父は昭和天皇のご学友・渡邉昭。