書名:歩み
副書名:皇后陛下お言葉集
監修:宮内庁侍従職(くないちょう・じじゅうしょく)
出版者:海竜社
出版年月:2005-10
ISBN:4-7593-0900-4
美智子皇后のスピーチや和歌の記録集
美智子皇后が皇后となってから70歳になるまでの歩みを、スピーチや和歌でたどることのできる記録集。平成元年から平成16年まで(1989~2004年)を収める。即位関連の記者会見から始まり、誕生日に際しての文書回答、外国訪問時の記者会見や感想、式典でのスピーチ、特別講演、寄稿文、和歌などをカテゴリーごとに構成する。巻末には英語版を収め、日本語の本文のうち、外国訪問関係を除く記事には英訳を併載する。 明仁天皇の発言記録集は、即位10年を記念して『道』として出版されており、その美智子皇后版である。式典でのスピーチのテーマは看護、児童書、教育、福祉、国際交流などに多岐にわたる。同書によると、書名「あゆみ」は、平成17年の歌会始の題「歩み」による。その際の歌も収めている。
雑談中
「歩み」っていう書名は、歌会始の題から取ったってことなのね。
本にはそう書いてある。だけど、それだけではない思いがあったかもしれないね。
なにそれ?
明仁天皇のお言葉集が『道』だろう。そこに呼応させて、「その道を、ともに歩んできた」という含みを持たせたのかもしれない。
別の理由をことさらに書いて、その含みを目立たなくするってこと? そんなことまで考えるかしら。
含みということでいうと、この本の発行日、平成17年10月17日にも感じるんだ。
どんな含みがあるの?
美智子皇后の誕生日は10月20日だから、70歳の年の終わりに出した本、ということになる。
だったら、もっと誕生日ぎりぎりでもよかったんじゃない?
そうかもしれない。でも、10月17日という日に意味があるように思えるんだ。
どんな意味?
この日は毎年、伊勢神宮で神嘗祭(かんなめさい)が行われる。新穀を最初に天照大御神にささげて感謝する、神宮でもとくに重要なお祭りの一つだね。
それがこの本と関係あるの?
この日には宮中でも祭祀があって、天皇、皇后が拝礼する。平成17年のこの日も、美智子皇后は明仁天皇とともに拝礼している。
ふうん。
この本は「公的な皇后」としての記録集だから、宮中祭祀のことは表に出てこない。でも、わたしは神々とともに歩む「伝統的な皇后」ですよということを、この発行日で静かににじませたのではないかな。
考えすぎじゃない?
そう思われても仕方ない。考えすぎだな(笑)。でも、美智子皇后の言葉や行動は、こちらが思う以上に、何がしかの含意を帯びている――私はそんな気がしているんだ。
