書名:ともしび
副書名:皇太子同妃両殿下御歌集
著者:明仁・美智子
編集:宮内庁東宮職
出版者:婦人画報社
出版年月:1986-12
明仁天皇夫妻の、皇太子・皇太子妃時代の和歌
皇太子時代の明仁天皇と美智子皇后の和歌を収めた歌集である。「皇太子殿下御歌」は昭和20年(1945年)から昭和61年(1986年)まで、「皇太子妃殿下御歌」は昭和35年(1960年)から昭和61年(1986年)まで、いずれも年の順に配列されている。「皇太子殿下御歌」の最後は「琉歌」となっている。
巻末にある徳川宗敬・神社本庁統理の「刊行のことば」によると、1984年は明仁天皇夫妻の結婚25年、昭和天皇夫妻の結婚60年に当たり、お祝いの記念としての刊行を宮内庁東宮職に相談したところ、聞き届けられたという。
明仁天皇の歌は、疎開の地と、帰京して入居した赤坂離宮での歌から始まる。どことなく暗い影が差している。それが、時が移るにつれ、次第に明るさや希望が加わってくる。美智子皇后の歌の最初は、皇后宮御誕辰(香淳皇后の誕生日)。島津貴子さん(明仁天皇の妹)の結婚、浩宮(徳仁天皇)誕生、天皇陛下(昭和天皇)御還暦と続く。約10年後に刊行された単独歌集『瀬音』が、明仁天皇と結婚後に落ち着いた新居のことを詠んだ歌から始まるのと比べると、「皇太子妃」という立場、この歌集への姿勢がわかる。
明仁天皇の詠んだ「琉歌」とは、奄美、沖縄、先島諸島の伝統的な定型詩で、明仁天皇は自学自習したとされる。収録されている琉歌は6首。そのうちの3首は、沖縄戦の惨禍への思い、2首は、ハンセン病療養所「沖縄愛楽園」の人々との交わり。最後の1首は、奇跡的に戦火を免れた今帰仁城跡の桜が詠まれている。即位後も変わらないまなざしが、そこにある。