書名:天皇家の宿題
著者:岩井克己(いわい・かつみ)
出版者:朝日新聞社(朝日新書 011)
出版年月:2006-10
ISBN:978-4-02-273111-1
平成皇室のありようから見えてくる課題
昭和末年から長く皇室を取材してきた記者が、平成皇室のありようを振り返り、見えてきた課題を投げかける本である。平成の天皇、皇后は、被災地をめぐり、沖縄を訪問し、戦争犠牲者を慰霊した。さまざまな外国を巡るとき、天皇の訪問、発言が外交上のメッセージの意味を含むとすれば、憲法違反の恐れはないのか。宮中行事、公的行為が飛躍的に増え、政・官・財の関係者との接点も増える。権力や利害関係からの距離感が崩れているのではないか。宮中祭祀に「精励」することは、国民国家の求心力や民族的アイデンティティーの再構成に結びつかないといえるのか。こうしたぎりぎりの「命がけの闘い」を、次世代が引き継げるのだろうか。
美智子皇后へのバッシング、伝統とは何か、東宮、皇位継承問題についてもそれぞれ一章を割く。皇位の継承では、女系を皇統の連続と捉えるのか、断絶と捉えるのか、そうしたことを含め、女系を認めるなら、それが「伝統」を変える選択であることをきちんと確認し、国民の合意を形成する作業が不可欠だろうとしている。
著者について(同書による)
岩井克己(いわい・かつみ)
朝日新聞編集委員(皇室担当)。1947年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒。北海道報道部、東京本社社会部などを経て、94年から現職。「『紀宮さま、婚約内定』の特報」で2005年度新聞協会賞受賞。著書に『侍従長の遺言』(聞き書き、解説)、共同監修に『徳川義寛終戦日記』。