女性天皇と女系天皇

女性天皇は性別による区別、女系天皇は祖先とのつながり(血統)による区別です

女性天皇の議論は「性別」、女系天皇の議論は「系統(血統)」の問題です。女性天皇は女性の天皇です。一方、「女系天皇」は祖先の天皇にたどり着くための「たどり方」(系統、血統)による区別です。

父→父→父…と「父だけ」をさかのぼる系統が「男系」で、「男系でない系統」の天皇が女系天皇です。女性天皇は、過去に10代8人が存在しました。ただし、これらの女性天皇はいずれも「男系」です。一方で、「女系天皇」は歴史上存在しないとされます。

▼現行の皇室典範は、皇位継承資格を「皇統に属する男系の男子」と規定している。「皇統」とは、歴代の天皇からつながる血統のことである。「男系」とは、天皇と男性のみで血統がつながることをいい、「女系」とはそれ以外のつながりをさす

◇笠原英彦(著)『皇室典範』 2025年 中央公論新社 p.130

▼ここで、「男系」とは、父方のみをたどることによって天皇と血統がつながることとされています。一方、「女系」とは、「男系」以外の天皇との血のつながり、すなわち母方を通じてしか天皇とつながらない血のつながりを含んだ血統のつながりのことをいいます。今上陛下は第126代の天皇でいらっしゃいますが、これまで歴代の皇位は、例外なく男系で継承されてきました。

◇「天皇の退位等に関する皇室典範特例法に対する附帯決議」に関する有識者会議『報告』

報告(PDF)

※政府資料では「父方/母方」と説明しているが、ここの「父方」は本稿の「父→父→父…(父のみ)」と同義である。

天皇系図(確認用)|宮内庁

男系の女性天皇はいるのか

男系の女性天皇はいます。というより、これまでの女性天皇はすべて男系です(父→父→父…と「父だけ」をさかのぼって歴代天皇につながります)。

愛子内親王が天皇に即位すると女系天皇になるのか

なりません。愛子内親王は男系だからです。愛子内親王は父→父→父…と「父だけ」をさかのぼれば祖先の天皇につながります。

一方で、愛子内親王が一般の男性(Aさん)と結婚し、その子が即位すると、その子は父(Aさん)側だけでは天皇につながりません。母(愛子内親王)を経由する必要があるため、その子は「女系天皇」になります。

女性天皇を認めて、女系天皇を認めないという人はいるのか

「女性天皇は容認するが、女系天皇には反対する」という人はいます。その立場の例として、政治家の発言を一つ挙げます。

高市早苗さんは、ノンフィクション作家石井妙子さんのインタビューに答えて「私は女性天皇に反対しているわけではありません。女系天皇に反対しています」と述べています(月刊『文藝春秋』2022年1月号)。

▼(聞き手はノンフィクション作家の石井妙子さん)

――男系とは父が天皇、もしくは父親の父親の父親の、と父方だけをたどっていくと天皇に行き当たるということですね。それに対して天皇の娘の子孫は父方が天皇ではない、つまり女系である、と。

高市 仮に、愛子さまが天皇に即位されたら、男系(父が天皇)の女性天皇になられる。その後、仮に愛子さまがAさんという民間の男性と結婚され、第一子に女子が誕生して天皇に即位されると、「女系(母親もしくは母方の先祖が天皇)の女性天皇」となられます。この天皇の男系の祖先はA家、女系の祖先は小和田家(雅子さまの父親の姓)ということになります。最初は男系の女性天皇、次に女系の女性天皇とすると、三代で男系の祖先も女系の祖先も民間人ということになってしまいます。

(中略)

――天皇の子孫であることが重要で男性でも女性でも同等に尊いとは考えられないのでしょうか。

高市 私は女性天皇に反対しているわけではありません。女系天皇に反対しています。女性天皇は過去にも推古天皇をはじめ八方(人)いらっしゃいましたが、すべて男系の女性天皇(天皇が父)です。在位中にはご結婚もなさらず、次の男系男子に皇位を譲られた歴史があります。男系による皇位の継承は、大変な工夫と努力を重ねて連綿と続けられてきたものであり、その歴史と伝統に日本人は畏敬の念を抱いてきました。

◇月刊『文藝春秋』2022年1月号(文藝春秋)p.384~