短くいうと……
歴史的に世襲だったので、現憲法もそれを確認して世襲と定めた。ではなぜ歴史的に世襲だったかというと、むかしはそれが普通だったから
少し長くいうと……
「日本国憲法」が天皇を国と国民統合の象徴としているのは、歴史上の天皇がそうであったと確認する意味でそのように定め、世襲で継承されるのは、歴史的に世襲だったからそのように定めている、と考える人がいて、だいたいそのように考えて良い感じである。
▽憲法は我が国の歴史上存在してきた天皇を前提として天皇について定めていると理解しているので、第一条では歴史的にも天皇が我が国と国民統合の象徴としてふさわしい存在であることを勘案し確認的に象徴であると定めたと解し、また第二条では、歴史上皇位が世襲により継承されてきたことを背景に、天皇という地位は世襲により継承するものであると確認的に定めたと解する(園部逸夫『皇室法入門』)
世襲制を定めた憲法の規定(第2条)については、①皇位が歴史的に世襲されてきたことを前提にして、それを確認する形で(確認的に)定められた規定だとする考え方と、②第1条で、歴史とは関係なく新憲法ではそうすることにしましょうということで(創設的に)象徴と定められた天皇について、新しい地位の新しい継承の仕方として(創設的に)定められた規定なのだとする考え方があり、は議論が分かれている。
園部逸夫『皇室法入門』