書名:皇室制度
副書名:明治から戦後まで
著者:鈴木正幸(すずき・まさゆき)
出版者:岩波書店(岩波新書 新赤版 289)
出版年月:1993-07
ISBN:978-4-00-430289-6
天皇が近代の国家・社会で占めた位置と皇室制度との関係をたどる
明治から戦後に至るなか、天皇が近代の国家制度、社会制度の中に占めた位置を確認しながら、現代に通じる皇室制度を考える本である。現代の天皇と皇室のあり方は、天皇と皇室の近代史(戦前史)を前提に成立している。天皇は、明治憲法で政治的君主と位置付けられ、「しろしめす天皇」として、伝統的統治形態が近代的統治形態と接続されるなか、教育勅語の発布も経て、「社会上の君主」となった。天皇と皇室は、日本の家秩序を理想的に体現する存在とも位置付けられた。 明治時代後半からは「天皇の国家化」が進んだが、日露戦後、大正デモクラシーの時代には国体的国家(理念的天皇制国家)が、現実の政治を批判する根拠ともなった。その国体観念はその後、国体至上主義と天皇神格化へと進み、制度の中の天皇の存在も議論になる。その過程をひもといていく。 皇室制度が近代国家の中でどのように作られ、修正され、再編されてきたことを確認する書である。日本の人々の天皇観、国家観の基底を考えるための書であるともいえる。
著者について(同書による)
鈴木正幸(すずき・まさゆき)1943年神奈川県に生まれる 1966年東京教育大学文学部卒業 専攻一日本近代史 現在一神戸大学文学部教授 著書―『近代天皇制の支配秩序』(校倉書房)、『戦間期の日本農村』(共著、世界思想社)、『近代の天皇」(岩波書店) 編著―『比較国制史研究序説』(共編、柏書房)