書名:天皇の宗教的権威とは何か
著者:山折哲雄(やまおり・てつお)
出版者:三一書房
出版年月:1978-07
天皇の権威を、宗教的構造から読み解く
人間でありながら人間を超えるような側面を持つ天皇という存在について、その宗教的権威から考察する本である。民俗学、宗教人類学、文化人類学の方法からの接近をみるほか、神話、儀式・儀礼、宗教思想、人々の信仰の中にその手がかりを探る。「万世一系」観念を通じて、政治との関係も考察する。明治期、伊藤博文が天皇統治の正統性を継承性に求め、一種の非宗教としての「万世一系」に接合しながら、その暗喩的文脈の中に皇室の祖先祭祀に支えられた政治的意味を込めたことや、古事記、日本書紀の神話の構造は、国家の統治者としての君主を語るために作られた政治的フィクションであるとした津田左右吉の研究などが説明される。 皇室制度を考えるとき、法制度や皇位継承の手続きだけではなく、「天皇の権威」がどのような宗教的・象徴的構造に支えられてきたのかを問う必要がある。本書は、その問題を、宗教学・思想史の側からたどる一冊である。
著者について(同書による)
山折哲雄(やまおり・てつお) 1931年サンフランシスコ生まれ 1954年東北大学文学部卒業 現在、東北大学文学部助教授 著書に『アジアイデオロギーの発掘』(勁草書房)、『人間蓮如』(春秋社)、『日本人の霊魂観』(河出書房新社) 訳書に『インドの家族と婚姻』(未来社)、『アジア宗教の基本的性格』(共訳・勁草書房)