書名:象徴のうた
著者:永田和宏(ながた・かずひろ)
出版者:KADOKAWA(角川新書 K-470)
出版年月:2024-11
ISBN:978-4-04-082530-4
平成の天皇、皇后の歌から象徴のあり方を読む
歌人であり、宮中歌会始の選者を務め、皇室の和歌にも深く関わってきた永田和宏氏が、平成の天皇、皇后の歌を読み解く本である。明仁天皇は、即位のときから憲法上の「象徴」であった。同書はその歩みを、歌に表れた思いと風景からたどろうとする。
扱われる題材は、大嘗祭、沖縄、硫黄島、阪神・淡路大震災、三宅島噴火、サイパン、東日本大震災、ペリリュー島、山梨県での疎開、皇后と石牟礼道子、相聞の歌など幅広い。平成の天皇、皇后が何に心を向け、どのような場所を訪ね、どのような人びとに思いを寄せたかが、歌を通じて浮かび上がる。
憲法に「象徴」の規定はあるが、「象徴」とは何か、どうすれば「象徴」たりうるのかは何も記されていない。それを求めた明仁天皇、傍らで伴走した美智子皇后の軌跡を、歌から読み取っていく。慰霊、被災地訪問、沖縄へのまなざし、戦争の記憶、家族への思い、老いと退位への時間が歌に詠み込まれる。本書は、その歌を通じて、象徴というあり方を読み直すための一冊である。
著者について(同書による)
永田和宏(ながた・かずひろ)
1947年、滋賀県生まれ。京都大学名誉教授、京都産業大学名誉教授、JT生命誌研究館館長。京都大学理学部物理学科卒業。アメリカ国立癌研究所客員准教授、京都大学再生医科学研究所教授、京都産業大学総合生命科学部教授・学部長、日本細胞生物学会会長などを歴任。2017年ハンス・ノイラート科学賞受賞。歌人としても活躍し、読売文学賞、迢空賞ほか多数受賞。宮中歌会始詠進歌選者、朝日歌壇選者などもつとめる。09年紫綬褒章受章。著書『歌に私は泣くだらう 妻・河野裕子 闘病の十年』(新潮社)で第29回講談社エッセイ賞受賞。ほかの著書に『知の体力』(新潮新書)、『基礎研究者 真理を探究する生き方』(大隅良典氏との共著、角川新書)など多数。