書名:〈退位〉の終戦史
副書名:免責と問責にゆれた天皇
著者:河西秀哉(かわにし・ひでや)
出版者:慶應義塾大学出版会
出版年月:2026-07
ISBN:978-4-7664-3124-7
昭和天皇の戦争責任と退位論を、終戦後の時間の中で読む
敗戦から講和独立までの時期に、昭和天皇の戦争責任と退位がどのように論じられたかをたどる本である。昭和天皇は、戦争責任の法的追及を免れ、戦後も在位した。しかしその一方で、占領期の日本社会では、天皇が戦争責任をどう引き受けるのか、退位すべきなのかどうかが、政治家、知識人、メディア、皇族、宮中関係者、国民の間で繰り返し論じられていた。
本書は、1945年から1952年までを中心に、敗戦直後の「一億総懺悔」論、昭和天皇とマッカーサーとの会談、「人間宣言」、戦後巡幸、GHQの思惑、東京裁判、講和独立、講和条約発効式典での「おことば」へと議論を進める。退位論は、一度だけ現れた議論ではなく、戦争責任、国体護持、天皇制の存続、再軍備、講和独立をめぐる時代状況の中で、何度も浮上していた。
また、本書は『昭和天皇拝謁記』などの史料を用い、昭和天皇自身の言葉、側近や政治家の発言、同時代の言論を重ねて読む。昭和から平成、そして令和へ続く象徴天皇制を考えるためにも、占領期の「退位」をめぐる議論を確認する意味は大きい。
著者について(同書による)
河西秀哉(かわにし・ひでや)
名古屋大学大学院人文学研究科教授。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(歴史学)。専門は日本近現代史、とりわけ象徴天皇制。京都大学大学文書館助教、神戸女学院大学文学部准教授などを経て現職。おもな著書に『天皇制と民主主義の昭和史』(人文書院、2018)や『平成の天皇と戦後日本』(人文書院、2019)、『皇室とメディア――「権威」と「消費」をめぐる一五〇年史』(新潮社、2024)など。