笠原英彦(著)『皇室がなくなる日』

書名:皇室がなくなる日

副書名:「生前退位」が突きつける皇位継承の危機

著者:笠原英彦(かさはら・ひでひこ)

出版者:新潮社(新潮選書)

出版年月:2017-02

ISBN:978-4-10-603796-2

退位を入口に、皇位継承の危機を考える

2016年の退位をめぐる動きを入口として、象徴天皇制の運用と皇位継承の危機を論じる本である。退位は、天皇の高齢化や公務負担の問題として語られたが、本書はそれを、皇位継承資格者の減少、女性天皇・女性宮家をめぐる議論、旧皇族系男子の位置づけなど、皇室制度全体の持続可能性の問題へと広げて考える。

著者は、皇室をめぐる議論が、伝統、象徴、国民統合、国民感情といった言葉に傾きやすいことを踏まえつつ、制度として何を維持し、どこを改めるのかを問う。皇室制度は、敬意や感情だけでは維持できない。だれが皇位を継ぐのか、皇族数の減少にどう対応するのか、象徴天皇制をどのように運用するのかという、制度設計の問題として考える必要がある。

本書は、古代から近世、近代、現代までをたどりながら、天皇のあり方と皇位継承の変遷を確認する。現代の章では、皇統の危機と女性天皇、女性宮家、旧宮家の皇籍復帰論などを扱う。退位を、単発の出来事としてではなく、皇室制度の将来をめぐる論点を可視化した出来事として読むための補助線になる。

著者について(同書による)

笠原英彦(かさはら・ひでひこ)

1956年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部教授。専攻は日本政治史、日本行政史。著書に『天皇親政』『歴代天皇総覧』『女帝誕生』『明治天皇』『象徴天皇制と皇位継承』などがある。

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