現行の皇位継承制度は、皇位継承資格を皇統に属する男系男子の皇族に限り、直系・長系・近親を優先する仕組みです
この記事は、2005年の皇室典範に関する有識者会議第1回の資料「現行皇位継承制度の仕組み」をもとに整理します。
現行皇位継承制度の仕組み(2005年1月25日/皇室典範に関する有識者会議 第1回 資料1)
皇位継承資格は、誰に認められているのか
現行制度では、皇位継承資格は、皇統に属する男系男子の皇族に限られています。
<世襲による継承>
日本国憲法第2条は、皇位は「世襲のもの」であり、国会の議決した皇室典範の定めるところにより継承すると定めています。つまり、皇位は選挙や任命によってではなく、世襲によって継承されるものとされています。
<男系男子への限定>
皇室典範第1条は、皇位継承資格を「皇統に属する男系の男子」に限定しています。ここでいう男系とは、父方をたどって天皇に連なる系統をいいます。そのため、皇族女子には皇位継承資格がなく、女性天皇や女系天皇は現行制度では認められていません。
<皇族であること>
皇室典範第2条は、皇位を「皇族」に伝えると定めています。したがって、皇位継承資格は、皇統に属する男系男子であるだけでなく、現に皇族である者に限られます。
男系とは何か
男系とは、父方をたどって天皇につながる系統のことです。
<父方でつながるかどうか>
資料には、男系・女系の例が図で示されています。天皇の男子の子孫は、父方を通じて天皇につながるため男系となります。他方、天皇の女子の子は、母方を通じて天皇につながるため女系となります。
<男子と男系は違う>
男子であることと、男系であることは同じではありません。たとえば、女性天皇の子が男子であっても、その子は母方を通じて天皇につながるため、男系ではなく女系となります。資料には、政府答弁として、単に「男子」とするだけでは女性天皇の子である男子が女系になってしまうため、男系という条件から外れるという説明が示されています。
皇位継承順位は、どのように決まるのか
現行制度の皇位継承順位は、直系優先・長系優先・近親優先という考え方で定められています。
<直系優先>
直系優先とは、基準となる天皇の子・孫・曽孫など、直系に属する者を先にし、兄弟や叔父などの傍系に属する者を後にする考え方です。
<長系優先>
長系優先とは、兄弟の関係では年長者の系統を年少者の系統に優先する考え方です。たとえば、兄の系統を弟の系統に優先し、さらに伯父の系統を叔父の系統に優先するという考え方です。
<近親優先>
近親優先とは、基準となる者から親族関係の近い者を先にし、遠い者を後にする考え方です。
<天皇の長男が第1位>
資料は、これらの考え方により、天皇の長男が皇位継承順位第1位となると説明しています。
皇族女子は、皇位を継承できるのか
現行制度では、皇族女子は皇位継承資格を持ちません。
皇室典範第1条が皇位継承資格を「皇統に属する男系の男子」に限定しているため、皇族女子は皇位を継承できません。
また、皇室典範第12条は、皇族女子が天皇・皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れると定めています。したがって、現行制度では、皇族女子は皇位継承資格を持たないだけでなく、婚姻によって皇族の身分を離れることになります。
皇族の範囲は、どのように定められているのか
現行制度では、皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃、女王が皇族とされています。
皇室典範第5条は、皇族の範囲を定めています。また、皇族の子孫は、世代を問わず皇族となる、いわゆる永世皇族制が採られています。
一方で、非嫡出子は皇族とされず、天皇および皇族は養子をすることができません。これらの規定により、皇族となる範囲や皇位継承資格を持ち得る範囲は、出生、婚姻、嫡出性、養子禁止などによって限定されています。
憲法の「世襲」は、男系男子だけを意味するのか
政府答弁では、憲法第2条の「世襲」そのものが、男系男子だけを意味するとまでは説明されていません。
資料には、憲法第2条の「世襲」についての政府答弁が整理されています。そこでは、皇位継承資格を男系に限定せず女子にも認めるために憲法改正を要するわけではない、という趣旨の答弁が示されています。
一方で、皇室典範では、伝統を背景として、皇位継承資格を男系男子に限る制度が採られている、と説明されています。つまり、憲法第2条の「世襲」と、皇室典範による男系男子限定とは、区別して考える必要があります。
まとめるとどうなるか
現行の皇位継承制度は、皇位継承資格を皇統に属する男系男子の皇族に限り、直系・長系・近親を優先して順位を定める仕組みです。
また、皇族女子には皇位継承資格がなく、皇族以外の者と婚姻すると皇族の身分を離れます。非嫡出子は皇族とされず、天皇および皇族は養子をすることもできません。
このように、現行制度は、世襲による皇位継承を前提としつつ、男系、男子、皇族、嫡出、養子禁止などの条件によって、皇位継承資格と皇族の範囲を限定する仕組みになっています。
