書名:「平成の天皇」論
著者:伊藤智永(いとう・ともなが)
出版者:講談社
出版年月:2019-04
ISBN:978-4-06-515750-3
退位・靖国・女性皇族から、平成の天皇と保守政治のねじれを読む
平成の天皇を、退位、象徴天皇制、保守政治、靖国問題、女性宮家などの論点から読み解く本である。著者は毎日新聞の政治記者として、政治と社会の動きを追ってきた人物である。
著者は、「生前退位という天皇の問いかけは、日本社会に投じられた「静かな思想爆弾」だったのではないか」と書く。各章では、退位をめぐる天皇と官邸との暗闘、靖国とは別のかたちで行われてきた国内外の慰霊について「天皇陛下は靖国を潰そうとしている」とした靖国神社宮司の発言と神社界の動き、女性皇族が皇室の活動を支えている現状と皇室制度検討の混迷などが記される。
平成の天皇の活動と、その背後にある思考を跡づけ、退位をめぐる動きの深層、周辺の思惑を描いた本書は、現代の日本の保守政治の状況を考察し、政治と不可分な天皇制そのもののあり方を考える一書である。
著者について(同書による)
伊藤智永(いとう・ともなが)
一九六二年生まれ。毎日新聞政治部、ジュネーブ特派員を経て、編集編成局編集委員兼論説委員。毎日新聞にコラム「時の在りか」を連載中。著書に『忘却された支配:日本のなかの植民地朝鮮』(岩波書店)、『靖国と千鳥ケ淵:A級戦犯合祀の黒幕にされた男』(講談社+α文庫)他。