皇族制度はどのようなものか

皇族制度とは、皇位継承を維持し、必要な場合に天皇の役割を支えるために、皇族の範囲や身分を定める制度です

この記事は、2005年の有識者会議の資料をもとに整理します。

なぜ皇族は制度になっているのか

皇族制度は、世襲による皇位継承を維持し、一定の場合に天皇の国事行為を代行する人を制度上確保するための仕組みです。

<皇位の継承者>

資料は、皇族制度の意義として、まず「世襲による皇位継承の維持」を挙げています。天皇の地位が世襲である以上、皇位を継承し得る人を、一般の国民とは異なる皇族という身分として制度上位置づけておく必要がある、という考え方です。

<国事行為の臨時代行者>

また資料は、皇族制度の意義として、一定の場合に天皇の国事行為を代行することも挙げています。たとえば摂政や国事行為の臨時代行は、天皇が自ら国事行為を行えない場合に、天皇の役割を支える仕組みです。

<一般の国民と異なる地位>

そのため、皇族制度は、単に「天皇の親族をどう呼ぶか」という制度ではありません。世襲による皇位継承を維持し、必要な場合に天皇の国事行為を支えるために、天皇の親族を皇族とし、制度上、一般の国民とは異なる地位に置く仕組みです。

皇族とは誰なのか

いまの制度では、皇族となる範囲は、出生と婚姻を中心に定められています。

<皇室に生まれるか嫁入りするか。養子にはなれない>

いまの制度で皇族となるのは、天皇・皇族の嫡出子(婚姻関係にある父母から生まれた子)や嫡男系嫡出の子孫として生まれた場合と、天皇・皇族男子の配偶者となる場合に限られます。養子によって皇族になることはできません。

<天皇との近さで扱いが変わる>

また、天皇、皇后、皇太子などを中心とする内廷皇族(ないていこうぞく)と、それ以外の内廷外皇族(ないていがいこうぞく)との区別があります。さらに、二世までの男子は親王(しんのう)、女子は内親王(ないしんのう)、三世以下の男子は王、女子は女王とされ、世数や男女の違いが、皇籍離脱や皇族費の扱いにも関わっています。

<女子は結婚すると離れる>

皇族女子は、天皇・皇族以外の者と結婚すると皇籍を離れます。

資料は、こうした制度全体を、皇位継承を維持し、必要な場合に天皇の役割を支えるための仕組みとして説明しています。

宮家とは何か

宮家とは、皇族の家のことです。

<時代に従って変わってきた>

大宝令では、皇族の範囲や身分が定められました。

その後、鎌倉時代になると、代々親王宣下を受けて継がれる「世襲親王家」が成立し、宮号も個人の呼び名ではなく、家名としての意味を持つようになります。

室町時代から江戸時代には、伏見宮・桂宮・有栖川宮・閑院宮の四親王家が成立しました。さらに江戸時代末から明治時代にかけて宮家は増え、増減はあったものの、明治末には多くの宮家が存在しました。

しかし昭和22年の皇籍離脱により、多くの宮家が皇籍を離れ、以後は明治天皇・大正天皇の男系の直系により皇室が構成されることになりました。

皇族をやめて、復帰した例はあるか

あります。復帰の事情は一定ではなく、懲戒の後に赦された場合のほか、さまざまです。

資料にはいくつかの例が挙げられています。たとえば、884年、第58代光孝天皇の皇子、定省(さだみ)が臣籍に降り、3年後の887年に皇籍に復し、親王・皇太子となり、のちに即位しました。これが第59代宇多天皇です。

このことから、皇籍を離れたあとに皇籍へ戻った例は、歴史上まったくなかったわけではないと分かります。

以前は、皇族の養子はあったのか

ありました。奈良時代から例が見られ、天皇になるために天皇の養子になる例や、宮家や寺に入るために養子となる例がありましたが、明治時代に禁止されました。

<かつてはあった>

資料は、江戸時代までの養子の例をいくつかの型に分けて説明しています。たとえば、皇位継承を目的とする養子、世襲親王家や寺家の継承を目的とする養子、親王宣下を受けるための養子などです。

<明治に禁止>

その後、明治22年の皇室典範によって養子制度は廃止され、現行皇室典範でも、天皇および皇族は養子をすることができないとされています。

以前は、皇族女子の結婚相手には制限があったのか

ありました。時代によって違いはありますが、結婚相手に一定の制限があり、婚姻による身分の変化の仕方も今とは違っていました。

<かつては制限、いまはなし>

資料によれば、江戸時代までにも、皇族女子の婚姻には一定の制限がありました。明治時代には、皇族女子の婚姻対象は皇族か一部の華族に限られていました。戦後、現行の皇室典範になり、限定はなくなりました。

また、婚姻によって皇族女子の身分がどう変わるかも、時代によって違いました。江戸時代までには、皇族以外の男子と結婚しても本人は皇族の身分を失わない例がありましたが、明治以降は、皇族女子が天皇・皇族以外の者と婚姻した場合、皇族の身分を離れる制度となりました。現行制度も、この点を引き継いでいます。

まとめるとどうなるか

皇族制度とは、皇位継承を維持し、必要な場合に天皇の役割を支えるために、皇族の範囲や身分を定める制度です。

そして、その制度は昔から同じ形だったのではなく、宮家、皇籍復帰、養子、婚姻などをめぐる歴史的な変化の中で形づくられてきました。この資料は、その一端を簡潔に示しています。

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