2024立法府対応で、各党・各会派は、皇族数確保策についてどのような意見を表明したのか

各党・各会派の意見は、二つの皇族数確保策への賛否だけでなく、配偶者・子の身分、旧宮家系男系男子の養子案、そして皇位継承制度そのものをどう扱うかで分かれています

2024対応では、各党・各会派が、2021附帯決議有識者会議報告を受け、皇族数確保策について意見を表明しています。

ここでいう「2024対応」とは、2021附帯決議有識者会議報告を受け、2024年5月17日の全体会議以降に進められている立法府側の対応を指します。

意見の中心になっているのは、二つの案です。

第一は、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案です。

第二は、皇統に属する男系男子を養子として皇族に迎える案です。

ただし、各党・各会派の意見の違いは、単純に二案に賛成か反対かだけではありません。

女性皇族案では、女性皇族本人を皇族に残すことに加えて、配偶者や子を皇族とするのかが問題になります。

旧宮家系男系男子の養子案では、養子本人に皇位継承資格を認めないとして、その子孫をどう扱うのかが問題になります。

さらに、そもそも皇族数確保策だけを先に議論し、女性天皇・女系天皇を含む皇位継承制度そのものの見直しを後回しにしてよいのか、という異議もあります。

そのため、各党・各会派の意見を見るときは、二案への賛否だけでなく、配偶者・子の身分、養子本人・子孫の皇位継承資格、皇族数確保と皇位継承制度の関係をあわせて読む必要があります。

各党・各会派の意見の要点(2025年1月31日配付資料)

第1案「女性皇族の婚姻後の皇族身分保持」についての各党・各会派意見整理

第2案「皇統に属する男系男子を養子に迎えること」についての各党・各会派意見整理

2026年4月15日 全体会議配付資料

女性皇族の婚姻後の身分保持については、比較的広い支持がある

女性皇族本人が婚姻後も皇族の身分を保持することについては、各党・各会派の間で比較的広い支持があります。

女性皇族の婚姻後の身分保持は、皇族数の減少を抑えるための方策です。

この案については、女性皇族本人が婚姻後も皇族として残ること自体には賛成、または制度化を検討すべきだとする意見が多く示されています。

自由民主党、公明党、国民民主党、中道改革連合、参政党、チームみらいなどは、皇族数確保の観点から、女性皇族の婚姻後の身分保持に積極的な意見を示しています。

立憲民主党も、女性皇族が婚姻後も皇族として残ることを前提に、配偶者や子の扱いを含めた検討を求めています。

一方で、日本保守党は、女性皇族の身分保持についても、皇統の安定継承とは別の論点であり早急に議論すべきではないという立場を示しています。

また、沖縄の風は、女性天皇を認めないまま女性皇族を皇室にとどめることは、自己決定権や幸福追求権との関係で問題があるとしています。

このように、女性皇族本人の婚姻後の身分保持には比較的広い支持がありますが、その制度の意味づけや優先順位については違いがあります。

配偶者や子の身分については、意見が分かれている

大きく分かれるのは、女性皇族の配偶者や子にも皇族の身分を与えるかどうかです。

女性皇族本人を皇族に残すとしても、その配偶者や子をどう扱うかについては、意見が分かれます。

配偶者や子を皇族としない立場は、女性皇族の子が皇族として制度内に入ることにより、将来の女系天皇論につながることを警戒します。

自由民主党、公明党、日本維新の会、国民民主党、参政党、チームみらいなどは、配偶者や子については、皇族の身分を持たない、または一般国民として扱う方向の意見を示しています。

国民民主党は、配偶者と子は一般国民としての権利義務を保持しつつ、「准皇族」として一代に限り皇室同様の処遇を認めることも不自然ではないとしています。

一方、立憲民主党は、女性皇族の配偶者や子も含め、家族一体として皇室の一員となることを望む立場を示しています。

沖縄の風は、女性・女系天皇を容認した上で、女性宮家を男性皇族と同等の制度として検討すべきだとしています。

中道改革連合は、女性皇族本人の身分保持については賛成が多い一方、配偶者や子の身分については意見が分かれているとしています。

この論点は、家族としての自然さと、女系皇族の位置づけへの警戒が交差するところです。

旧宮家系男系男子の養子案については、男系維持を重視する立場から支持がある一方で、慎重論や反対論もある

旧宮家系男系男子の養子案は、男系維持の枠内で皇族数を確保する案として、支持する意見が示されている一方で、対象者の有無、憲法上の疑義、国民の理解、先例との整合性などを理由とする慎重論や反対論があります。

自由民主党は、旧十一宮家の皇族男子の子孫である男系男子を養子に迎えることは、皇族数確保、安定的皇位継承のために必要な方策であるとしています。

公明党は、対象を旧十一宮家の方々に限定してよいとし、縁組後に養子と婚姻した妻や、縁組後に生まれた子は皇族の身分を持つべきだとしています。

日本維新の会は、この案を歴史的にも整合的で現実的な案として重視し、第一優先で進めるべきだとしています。

国民民主党は、旧十一宮家の男系男子が皇籍を取得できる仕組みは、伝統的な男系継承を維持するための現実的な処方箋であるとしています。

参政党や日本保守党も、旧宮家系男系男子の養子案を、皇位継承者や皇族数を確保するための重要な方策として位置づけています。

一方で、立憲民主党は、「皇統に属する」の定義が不明であり、養子制度の創設は極めて慎重な検討が必要だとしています。

中道改革連合は、養子案に賛成意見が多数である一方、憲法上の問題や国民から理解が得られるかという懸念を払拭する必要があるとの意見もあるとしています。

チームみらいは、皇族数を確保するための方策の一つとしてあり得るとしつつ、女性天皇や女系天皇を含む将来の皇位継承のあり方についても、分けて議論すべきだという方向を示しています。

日本共産党は、男系男子による継承を不動の原則としていること自体を問題視し、旧宮家系男系男子の養子案には重大な問題があるとしています。

社会民主党は、皇室典範が養子を禁じている理由や、養子縁組が人為的で公平性に問題が生じ得ることを理由に、反対しています。

沖縄の風は、女性・女系天皇や女性宮家を認めれば、安定的な皇位継承や皇族数確保は可能であるとして、旧宮家系男系男子の養子案に反対しています。

この論点は、旧宮家系男系男子の養子案を考えるうえで、対象者、先例、憲法、本人と子孫の皇位継承資格に関わります。

皇位継承制度そのものをどう扱うかでも、意見は分かれている

各党・各会派の違いは、二案への賛否だけでなく、皇族数確保と皇位継承制度を切り離して議論できるかにも表れています。

2021附帯決議有識者会議報告は、悠仁親王までの皇位継承の流れをゆるがせにしないことを前提に、まず皇族数確保策を検討しました。

2024対応も、基本的にはこの建付けを引き継いでいます。

自由民主党、公明党、日本維新の会、国民民主党、参政党、日本保守党などは、悠仁親王までの皇位継承の流れをゆるがせにしないことを重視し、男系維持の枠内で皇族数確保策を進める方向に立っています。

一方、立憲民主党は、皇位継承の問題と切り離し、皇族数確保の方策を示すだけで、本質的な議論を避けて先延ばしすることになったことを遺憾としています。

日本共産党、社会民主党、沖縄の風は、女性天皇・女系天皇を含む皇位継承制度の見直しを正面から議論すべきだという方向の意見を示しています。

チームみらいは、悠仁親王までの皇位継承の流れをゆるがせにしないことを前提にしつつ、女性天皇については次世代以降の安定的な皇位継承を見据えた議論として位置づけるべきだとしています。

れいわ新選組は、天皇制のあり方や皇位継承の問題について、国民の幅広い議論に委ねる努力が十分だったのかに疑問を示しています。

このように、2024対応では、二案の制度設計だけでなく、そもそも皇族数確保策を皇位継承制度の問題からどこまで切り離せるのかが、各党・各会派の意見の違いとして表れています。

まとめるとどうなるか

各党・各会派の意見は、二つの皇族数確保策をめぐって、いくつかの軸に分かれています。

第一に、女性皇族の婚姻後の身分保持については、比較的広い支持があります。

第二に、女性皇族の配偶者や子を皇族とするかどうかでは、意見が分かれています。

第三に、旧宮家系男系男子の養子案については、男系維持を重視する立場から支持がある一方で、対象者、先例、憲法、国民の理解、皇位継承資格との関係を理由に慎重論や反対論があります。

第四に、皇族数確保策を皇位継承制度そのものの問題から切り離してよいのかについても、意見が分かれています。

そのため、ここで見るべきなのは、各党・各会派が二案に賛成か反対かだけではありません。

配偶者・子の身分をどう見るか。

旧宮家系男系男子の養子案をどう位置づけるか。

そして、皇族数確保と皇位継承制度の関係をどう考えるか。

この三つを重ねて見ることで、2024対応における意見の分布が見えてきます。

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