養子案(ようしあん)

旧宮家系男系男子を皇族に迎える案

皇室制度の議論でいう養子案とは、皇統に属する男系男子を、現在の皇族の養子として皇族に迎える案です。

現在の議論では、主に旧宮家系の男系男子を皇族に迎える方策として語られています。

この案は、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案と並んで、皇族数を確保するための方策として議論されています。

旧宮家系男系男子とは誰か

太平洋戦争の敗戦後、1947年10月、昭和天皇の弟宮である秩父宮・高松宮・三笠宮を除く11宮家51人が皇籍を離れました。この時に皇籍を離れた宮家を、ここでは旧宮家と呼んでいます。

旧宮家はいずれも伏見宮系の宮家です。現在の皇室との男系での枝分かれは中世にさかのぼりますが、皇統に属する男系の血筋を引く男子という意味で、旧宮家系男系男子、旧宮家の男系男子孫などと呼ばれています。

皇室制度の議論では、何が問題になるか

養子案は、皇族数確保策であると同時に、皇位継承制度との関係を避けて通れない案です。

現行皇室典範は、皇族が養子をすることを禁止しています。

そのため、養子案を採るには、皇室典範を改正し、皇族が養子を迎えることを可能にする必要があります。

誰を養子として皇族に迎えるのかについて、現在の議論で想定されているのは、旧宮家系の男系男子です。

この案は、皇族数を確保し、将来の皇室活動や皇位継承の安定につなげようとするものです。

ただし、旧宮家系男系男子は、戦後長く一般国民として暮らしてきた人々です。また、現在の皇室との男系での血筋の枝分かれは中世にさかのぼります。

その人々を皇族に迎えることが、国民の理解を得られるか、また、養子となった本人や、その子孫に皇位継承資格を認めるのか、継承資格を認めることが自然と受け止められるか、などが問題になります。

そもそも、皇族数確保のためとして検討されているこの案は、皇位継承資格者を確保すること、安定的な皇位継承とどうつながるのか見えにくくなっています。

こうした点が、養子案をめぐる論点になります。

どのように議論されてきたか

2005年には採用が極めて困難とされた案が、近年は皇族数確保の選択肢に挙げられています。

旧宮家系男系男子を皇族に迎える案は、安定的な皇位継承策を検討した2005有識者会議の報告書では、採用することが極めて困難とされました。

理由は、その人たちは長く一般国民として過ごしており、明仁天皇との共通の祖先は、室町時代までさかのぼる遠い血筋であることなどから「国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題」があるとされたためです。

一方で、2021年の有識者会議『報告』では、旧宮家系男系男子を皇族に迎える方向が、皇族数確保のための具体的方策の一つとして整理されました。

その後、2024年以降の立法府対応でも、女性皇族の婚姻後の身分保持案と並んで、各党派が検討する主要な案の一つになっています。

この養子案の議論を読むときは、単に「皇族を増やす案」として見るだけではなく、旧宮家、男系男子、皇位継承資格、皇室典範9条(養子の禁止)、国民の理解、憲法上の平等原則との関係をあわせて見る必要があります。

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