旧宮家とは、1947年に皇籍を離脱した11宮家51人のことで、現在は、その男系男子子孫を皇族にする案との関係で論点になっています
旧宮家とは、皇室制度の議論では、主に1947年10月に皇籍を離脱した11宮家51人を指します。
11宮家は、山階宮(やましなのみや)、賀陽宮(かやのみや)、久邇宮(くにのみや)、梨本宮(なしもとのみや)、朝香宮(あさかのみや)、東久邇宮(ひがしくにのみや)、竹田宮(たけだのみや)、北白川宮(きたしらかわのみや)、伏見宮(ふしみのみや)、閑院宮(かんいんのみや)、東伏見宮(ひがしふしみのみや)です。
この11宮家は、いずれも伏見宮系の宮家です。皇籍離脱前には皇族であり、その皇族男子は、制度上、皇位継承資格を持ちました。
現在の議論で主に問題になっているのは、旧11宮家の皇族男子から男系でつながる男子の子孫を、養子などの方法で皇族にする案です。
そのため、「旧宮家」は、現在の皇室制度論議では、皇族数確保、養子案、男系継承、皇位継承資格につながる言葉です。
2005年の皇室典範に関する有識者会議第8回の参考資料には、「昭和22年10月の皇籍離脱について」として、皇籍離脱した旧11宮家の系統が示されています。
そこでは、山階宮、賀陽宮、久邇宮、梨本宮、朝香宮、東久邇宮、竹田宮、北白川宮、伏見宮、閑院宮、東伏見宮の11宮家が掲げられています。
現在の議論では、皇族数確保策と皇位継承論の接点になります
旧宮家が現在の議論で問題になるのは、皇族数の減少との関係です。
現在の皇室典範では、女性皇族は婚姻により皇族の身分を離れます。また、皇位継承資格は、皇統に属する男系男子に限られています。
そのため、皇族数をどう確保するかという問題と、将来の皇位継承をどう安定させるかという問題が、同時に問われることになります。
2021年の有識者会議報告は、皇族数確保策の一つとして、皇族には認められていない養子縁組を可能にし、皇統に属する男系男子を皇族に迎える方策を示しました。
その中で、旧11宮家の皇族男子から男系でつながる男子の子孫を養子として皇族に迎えることも考えられるとされています。
2024年以降の立法府対応でも、この案は、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案と並ぶ主要な皇族数確保策として扱われています。
ただし、この案は、単に公務を担う皇族を増やすだけの案ではありません。
旧宮家系男系男子を皇族にすることは、男系男子の皇族を新たに確保することでもあります。そのため、皇族数確保策として説明される一方で、皇位継承資格をどう扱うかという点が問題になります。
養子として皇族になった本人に皇位継承資格を認めるのか、その子孫をどう扱うのかによって、制度の意味は大きく変わります。
皇族数確保策として導入するのか、将来の皇位継承資格にもつながる制度として導入するのか。この点をあいまいにすると、皇族数確保と皇位継承制度をどこまで切り離せるのかという問題が残ります。
旧宮家系男系男子を皇族にすることには、賛成・慎重の両方の理由があります
賛成意見の根拠にあるのは、旧宮家がかつて皇族であったという事情です。2021年の有識者会議報告書は、旧宮家の人たちは離脱前は皇位継承資格を有したことに触れています。
また、現在は皇族数確保の対応策として議論されていますが、旧宮家系男系男子を皇族にする案が推されるのは、男系継承を維持しながら、皇族数を確保できると考えられているからです。
この立場からは、旧11宮家は、かつて皇族であり、皇統に属する系統であることが重視されます。
また、女性天皇・女系天皇の問題に直ちに踏み込まずに、男系男子の皇族を確保できる案として位置づけられます。
一方で、慎重に考える理由もあります。
旧宮家の子孫は、現在は一般国民として生活しています。その人々を皇族に迎えるには、本人の意思、家族の生活、国民の理解、制度上の根拠を慎重に考える必要があります。
また、一般国民の中から皇族になることのできる人だけを選り分けることと、憲法14条(門地による差別の禁止)の規定との緊張関係を指摘する意見もあります。
旧宮家をめぐる議論は、皇位継承資格を検討した2005年の有識者会議でも意識され、この時は消極的な方向が示されました。
2005年報告書は、補論で旧皇族の皇籍復帰等の方策を検討しながら、旧皇族は長く一般国民として生活してきたこと、現在の皇室との血筋が遠いこと、継承制度の運用が不安定になるおそれがあること、皇室と国民を峻別してきた考え方との関係などを指摘しました。
2005年には慎重な理由が示され、2021年には皇族数確保策として改めて提示され、2024年以降の立法府対応では主要2案の一つとして扱われるようになっています。
2021年の有識者会議報告は、皇族数確保策の一つとして、皇族には認められていない養子縁組を可能にし、皇統に属する男系男子を皇族に迎える方策を示しました。
その中で、昭和22年10月に皇籍を離脱した旧11宮家の皇族男子の子孫である男系男子を養子として皇族に迎えることも考えられるとしています。
また、旧11宮家の皇族男子は、日本国憲法および現行の皇室典範の下で皇位継承資格を有していた方々であるとも説明しています。
2005年の皇室典範に関する有識者会議報告書は、補論で「旧皇族の皇籍復帰等の方策」を検討しました。
そこでは、旧皇族の皇籍復帰等について、長く一般国民として生活してきた人々を皇族とすることへの理解の問題、現在の皇室との男系の血縁の遠さ、皇位継承制度の運用が不安定になるおそれ、皇室と国民の峻別という考え方との関係などが指摘されています。
このため、2005年報告書では、旧皇族の皇籍復帰等を中心方策とせず、女子や女系の皇族への皇位継承資格の拡大を検討する方向へ進みました。