現在の制度と議論の流れから見ると、愛子内親王が天皇になる可能性は限りなく低いです
愛子内親王は、多くの人の関心を集めています。
女性天皇を認めてもよいのではないか、という世論調査も多くあります。
しかし、現在の制度と、現在進んでいる議論の流れから見ると、愛子内親王が天皇になる可能性は限りなく低いといえます。
理由は大きく三つあります。
第一に、現行の皇室典範では、愛子内親王に皇位継承資格がありません。
第二に、現在の議論は、皇位継承資格を愛子内親王に広げる方向には進んでいません。
第三に、女性天皇を認める議論は、女系天皇への接続可能性をめぐって強い警戒を受けます。
もちろん、法律を変えれば、女性天皇を認めることは制度上不可能ではありません。
しかし、実際の政治過程と現在の議論の流れを見ると、愛子内親王が天皇になるには、非常に大きな壁があります。
この記事では、まず現在の制度を確認し、次に現在の議論がどこへ向かっているのかを見ます。
そのうえで、この問いが、皇室制度が何を守ろうとしているのかを考える入口になることを確認します。
皇室制度の入口
いまの制度では、愛子内親王に皇位継承資格はありません
現在の皇室典範1条は、皇位継承について、「皇統に属する男系の男子」が継承すると定めています。
そのため、現在の制度では、女性皇族には皇位継承資格がありません。
愛子内親王は、天皇の子であり、皇族です。
しかし、女性皇族であるため、現行制度のもとでは皇位継承資格を持ちません。
これは、愛子内親王個人の資質や人気の問題ではありません。
制度の問題です。
現在の皇位継承順位は、秋篠宮、悠仁親王、常陸宮の順です。
したがって、現行制度を前提にする限り、愛子内親王が天皇になることはありません。
制度を変えれば可能ですが、現在の議論はその方向に進んでいません
女性天皇を認めることは、制度上、絶対に不可能というわけではありません。
皇室典範を改正し、女性皇族にも皇位継承資格を認めれば、女性天皇を制度化することはできます。
実際、2005年の「皇室典範に関する有識者会議」は、安定的な皇位継承のため、女子や女系の皇族にも皇位継承資格を広げる方向を示しました。
つまり、政府の有識者会議が、女性天皇・女系天皇を認める方向に進んだことはあります。
しかし、その後、皇室典範改正は実現しませんでした。
2012年の有識者ヒアリングでは、皇位継承問題とは切り離し、女性皇族の婚姻後の身分と皇室活動の維持が検討されました。
2021年の有識者会議報告でも、皇位継承資格や順位を変えることには踏み込まず、皇族数確保策が中心に置かれました。
2024年以降の立法府の議論でも、中心にあるのは、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する案と、旧宮家系の男系男子を養子として皇族に迎える案です。
つまり、現在の議論は、愛子内親王に皇位継承資格を広げる方向には進んでいません。
検討の経緯
なぜ可能性は限りなく低いのか
愛子内親王が天皇になる可能性が限りなく低いのは、制度上の問題だけではありません。
現在の議論の前提にも、大きな壁があります。
| 壁 | 内容 |
|---|---|
| 現在の継承順位 | 秋篠宮から悠仁親王へという現在の継承順位を揺るがせないことが、現在の議論の前提になっている |
| 議論の対象 | 現在の議論は、皇位継承資格の拡大ではなく、皇族数確保に焦点を当てている |
| 男系男子継承への警戒 | 愛子内親王に皇位継承資格を認めることは、女性天皇・女系天皇容認への入口と見られやすい |
第一に、現在の議論では、秋篠宮から悠仁親王へという継承の流れを揺るがせないことが、強い前提になっています。
女性天皇を認めるとしても、それを愛子内親王に適用するのか、将来の女性皇族に適用するのかで、議論の意味は大きく変わります。
愛子内親王に皇位継承資格を認めるなら、現在の継承順位をどう扱うかが問題になります。
第二に、現在の議論は、皇位継承資格の拡大ではなく、皇族数確保を中心に進んでいます。
女性皇族が婚姻後も皇室に残る案は議論されています。
しかし、それは、女性皇族に皇位継承資格を認める案とは別のものとして扱われています。
第三に、男系男子継承を維持する立場からは、愛子内親王への皇位継承資格付与は、女性天皇・女系天皇容認への入口と見られます。
そのため、女性皇族本人の身分保持には近づけても、愛子内親王に皇位継承資格を認める議論には強い警戒があります。
この三つがあるため、現在の制度と議論の流れから見ると、愛子内親王が天皇になる可能性は限りなく低いのです。
愛子内親王が天皇になるには、何が変わる必要があるのか
愛子内親王が天皇になるには、少なくとも三つの大きな変更が必要になります。
第一に、皇室典範1条を改正し、女性皇族にも皇位継承資格を認める必要があります。
現在の「皇統に属する男系の男子」という規定を見直さなければ、愛子内親王に皇位継承資格は生じません。
第二に、現在の継承順位をどう扱うかを決める必要があります。
秋篠宮、悠仁親王という現在の継承順位を維持したまま、将来に向けて女性天皇を認めるのか。
それとも、愛子内親王に皇位継承資格を認め、順位も含めて見直すのか。
ここを決めなければなりません。
第三に、女性天皇と女系天皇をどう整理するかが問題になります。
愛子内親王が天皇になることは、女性天皇を認めることです。
しかし、愛子内親王の子に皇位継承資格を認めるなら、それは女系天皇を認める問題につながります。
女性天皇は認めるが女系天皇は認めないのか。
女系天皇まで認めるのか。
この整理が必要になります。
つまり、愛子内親王が天皇になるには、単に「女性天皇に賛成か反対か」だけではなく、継承順位、皇位継承資格、女性天皇と女系天皇の関係を、制度として決め直す必要があります。
世論が支持しても、それだけで制度は変わりません
世論調査では、女性天皇を認めることに賛成する人が多くいます。
そのため、なぜ制度が変わらないのか、不思議に感じる人も多いはずです。
しかし、皇位継承制度は、世論の多数だけで自動的に変わるものではありません。
皇室典範を改正するには、政府が法案をつくり、国会で審議し、成立させる必要があります。
その過程では、現在の継承順位、男系男子継承の維持、女性天皇と女系天皇の関係、皇室と国民の理解など、多くの問題を整理しなければなりません。
女性天皇への賛成が多いことと、実際に愛子内親王に皇位継承資格を認める制度をつくることは、同じではありません。
とくに、男系男子継承を重視する立場からは、愛子内親王への継承資格付与は、女系天皇容認へ進む入口と見られやすくなります。
そのため、世論が女性天皇を支持していても、それだけで制度が変わるわけではありません。
ここには、皇室制度をめぐる大きなずれがあります。
多くの人は、愛子内親王が天皇になることを自然に感じるかもしれません。
しかし、制度の側は、男系男子継承を維持する仕組みとして作られています。
このずれが、「なぜ多くの人が支持しているのに変わらないのか」という問いを生んでいます。
この問いは、皇室制度が何を守ろうとしているのかを見せます
「愛子内親王は天皇になれないのか」という問いは、愛子内親王個人への関心だけで終わる問いではありません。
この問いは、皇室制度が何を守ろうとしているのかを見せます。
現行制度が守っているのは、男系男子による皇位継承です。
愛子内親王に皇位継承資格を認めるなら、その前提を変えることになります。
女性天皇を認めるだけなのか。
女系天皇まで認めるのか。
現在の継承順位を維持するのか。
秋篠宮、悠仁親王との関係をどう整理するのか。
これらは、いずれも皇室制度の根本に関わります。
だからこそ、愛子内親王への関心は、皇室制度を考える入口になります。
愛子内親王が天皇になれるかという問いは、女性天皇を認めるかどうかだけの問題ではありません。
天皇を、男系で続いてきた皇統の連続性として見るのか。
現在の皇室と国民の関係から考えるのか。
皇位継承の安定性をどう確保するのか。
皇室制度が何を守り、何を変えようとしているのか。
その違いを見せる問いなのです。
制度と天皇理解
まとめるとどうなるか
現在の制度では、愛子内親王に皇位継承資格はありません。
皇室典範は、皇位継承資格を「皇統に属する男系の男子」に限っているからです。
制度を変えれば、女性天皇を認めることは可能です。
しかし、現在の議論は、愛子内親王に皇位継承資格を広げる方向には進んでいません。
現在の議論は、皇位継承資格の拡大ではなく、皇族数確保を中心に進んでいます。
そのため、愛子内親王が天皇になる可能性は、限りなく低いといえます。
愛子内親王が天皇になるには、皇室典範1条の改正、現在の継承順位の扱い、女性天皇と女系天皇の整理が必要になります。
世論が女性天皇を支持していても、それだけで制度は変わりません。
「愛子内親王は天皇になれないのか」という問いは、皇室制度が何を守ろうとしているのかを考える入口になります。
