第13回は、皇族の範囲と関連制度をどう見直すかを議論し、男系男子維持の場合と女性・女系拡大の場合の制度対応を整理した回でした
2005年10月5日、皇室典範に関する有識者会議の第13回会合が開かれました。
この回では、皇族の範囲および関連制度について意見交換が行われました。
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第11回では皇位継承資格、第12回では皇位継承順位が議論されました。
第13回では、その次の論点として、皇族の範囲と関連制度が議論されました。これは、皇位継承資格や順位を見直した場合に、誰を皇族とするのか、婚姻や皇籍離脱、皇室経済制度などをどう扱うのかを考える回でした。
皇族の範囲では、何が問題になったのか
皇族の範囲では、皇位継承者を確保するために、皇族数をどう調整するかが問題になりました。
第13回では、男系男子を維持する場合でも、女性・女系に拡大する場合でも、皇族の範囲をどう設定するかが議論されました。
皇位継承資格者を確保するには、一定数の皇族が必要です。しかし、皇族の範囲を広げすぎれば、皇族数や財政負担の問題も生じます。
そのため、皇族の範囲をどう定め、どのように皇族の規模を調整するかが、第13回の中心問題になりました。
永世皇族制と世数限定制は、どう比べられたのか
世数限定制は明確ですが、出生の動向によって皇位継承者が少なくなりすぎるおそれがあり、リスクが高いとされました。
第13回では、永世皇族制と世数限定制が比較されました。
世数限定制は、皇族の範囲を法令で一定の世数に限定する制度です。範囲が明確で、将来の立場を予測しやすいという利点があります。
しかし、男系男子を維持する場合でも、女性・女系に拡大する場合でも、出生の動向次第で皇位継承者が非常に少なくなるおそれがあり、リスクが高いのではないかという意見が出ています。
一方、永世皇族制を前提に皇籍離脱制度で対応する場合には、その時々の事情に応じた弾力的な調整が可能になります。
ただし、客観的な条件によってその都度考える必要があり、一般的なルールを決めることは難しいのではないかという問題も示されました。
皇籍離脱制度は、どう考えられたのか
皇籍離脱制度は、皇族の規模を調整する仕組みとして重視されましたが、本人の意思や基準の難しさも問題になりました。
第13回では、永世皇族制をとり、皇籍離脱制度の運用で皇族の規模を調整する考え方が強く出ています。
現行制度制定時の金森徳次郎国務大臣の答弁に触れながら、結局は永世皇族制のうえで皇籍離脱制度を適正に運用するしかなく、それが適切なのではないかという意見が出ました。
ただし、皇籍離脱をどう運用するかには難しさがあります。
本人の意思による皇籍離脱の場合には、本人の意思を最大限重視しなければならないとされました。一方で、制度としてどう考えるかは別問題だともされています。
また、皇籍離脱には皇室会議の議が必要であり、制度上は離脱を思いとどまっていただくことも可能な仕組みだと確認されました。
皇籍離脱制度を運用する場合には、恣意性を排除する必要があります。しかし、将来の皇室構成を正確に予測することは難しく、明確な基準を作るのも難しいとされました。
そのため、若い皇族の数や、世数の遠い方から離脱することなどを目安にしながら、適正かつ弾力的に運用するという方向が示されています。
女性皇族の婚姻と皇籍離脱は、どう議論されたのか
女性皇族に皇位継承資格を拡大する場合には、婚姻後の皇籍離脱や、本人の意思をどう扱うかが問題になりました。
現行制度では、女性皇族は天皇・皇族以外の者と婚姻すると皇籍を離脱します。
第13回では、仮に皇位継承資格を女性・女系に拡大した場合でも、女性皇族の中には、皇籍離脱したうえで結婚したいという希望を持つケースもあり得るのではないかという意見が出ています。
また、女性皇族はこれまで、婚姻により皇籍離脱することを前提として成長されてきていることにも留意すべきだとされました。
ここで見えているのは、制度上の必要と、本人の意思・生活設計との関係です。
女性皇族に皇位継承資格を認める場合、皇族にとどまる制度を作る必要があります。しかし同時に、本人の意思をどこまで尊重するかも問題になります。
関連制度では、何が見直し対象になったのか
女性天皇・女系天皇を可能にする場合には、内親王・女王を親王・王と同様に扱う関連制度改正が必要だとされました。
第13回では、関連制度についても意見が出ています。
皇位継承資格を皇族女子に拡大する場合には、内親王・女王を、親王・王と同様にする必要があるとされました。
これは、婚姻、配偶者、皇籍離脱、摂政、皇室経済制度など、現行制度で男女の扱いが異なる制度を見直すということです。
たとえば、男性皇族の配偶者は皇族となり、妃などの身分を持ちます。これに対し、女性皇族の配偶者は、現行制度では皇族となりません。
また、皇族費などの皇室経済制度についても、国民の皇室への期待や皇族としての活動にふさわしいものとなるよう留意すべきだという意見が出ています。
つまり、女性天皇・女系天皇を可能にすることは、皇位継承資格だけを変える問題ではなく、皇族制度全体の関連規定を見直す問題でした。
男性配偶者を迎えることは、どう議論されたのか
女性・女系に拡大する場合には、男性配偶者を迎えるという現実的な問題も議論されましたが、男性でも女性でも皇室に配偶者を迎える難しさはあるとされました。
第13回では、皇位継承資格を女性・女系に拡大した場合、男性の配偶者を得るという現実的な問題があるのではないかという意見が出ています。
これに対し、一般論として、男性の配偶者を迎えることは経験のないことであり、難しい問題が生じる可能性があるとしつつも、皇室に配偶者を迎えることは、男性でも女性でも難しさがあるのではないかという意見が示されました。
また、男性の配偶者を迎えることと女性の配偶者を迎えることのどちらが難しいかは論じることができないのではないかという意見も出ています。
さらに、一般の社会でも出会いの機会がなく晩婚化していることを踏まえ、男性・女性にかかわらず、そのような面での工夫や配慮が必要ではないかとされました。
ここでは、女性・女系拡大に伴う現実的な問題を認めつつ、それを女性皇族だけに特有の困難として扱わない方向が示されています。
皇室の意向と皇室会議は、どう位置づけられたのか
皇室典範そのものについて皇室の意向をうかがうことはできない一方、個別の皇籍離脱等は皇室会議で審議される仕組みがあると整理されました。
第13回では、皇籍離脱等について、皇室の意向をどのように考えるべきかという論点も出ています。
これについて、皇室典範自体は法律であるため、それについて皇室の意向をうかがうことはできないとされました。
一方、個々の皇籍離脱等については、皇族もメンバーとなっている皇室会議が審議する場としてあるのではないかと整理されています。
議事要旨では、皇室会議の構成についても事務局から説明がありました。皇室会議は、皇族2方、衆参両院の議長・副議長、内閣総理大臣、宮内庁長官、最高裁判所長官および判事1名の10名で構成され、内閣総理大臣が議長となると説明されています。
ただし、皇族議員が2人でよいのかという問題は将来の議論としてあり得るものの、この時点で皇室会議の構成を議論することは時期尚早だとされました。
意見が一致した点は何だったのか
男系男子を維持する場合には現行の永世皇族制と皇籍離脱制度を維持し、女性天皇・女系天皇を可能にする場合には内親王・女王を親王・王と同様にする必要がある点で意見が一致しました。
第13回の最後に、意見が一致した点が整理されています。
第一に、男系男子を維持する場合には、現行の永世皇族制を前提とした皇籍離脱制度の運用によって皇室の規模を調整する仕組みを改正する必要はない、という点です。
第二に、女性天皇・女系天皇を可能にする場合には、関連制度について、内親王・女王を親王・王と同様とするよう改正する必要がある、という点です。
これは、第13回の重要な到達点です。
男系男子を維持する場合には、皇族の範囲調整の基本構造は現行制度のままでよい。
女性天皇・女系天皇を可能にする場合には、女性皇族を男性皇族と同様に扱う関連制度改正が必要になる。
この二つが確認されました。
まとめるとどうなるか
第13回は、皇族の範囲および関連制度について議論した回でした。
世数限定制は制度として明確ですが、出生の動向によって皇位継承者が少なくなりすぎるおそれがあり、リスクが高いとされました。
永世皇族制を前提に皇籍離脱制度を運用する場合には、弾力的な調整が可能ですが、一般的なルールを作ることは難しく、本人の意思や皇室会議の関与、恣意性の排除が問題になります。
女性天皇・女系天皇を可能にする場合には、女性皇族の婚姻後の皇籍、配偶者、子、皇籍離脱、摂政、皇室経済制度など、関連制度の見直しが必要になります。
また、男性配偶者を迎えることの難しさ、皇室の意向、皇室会議の役割も論点になりました。
第13回では、最終的に、男系男子を維持する場合には現行の永世皇族制と皇籍離脱制度による調整を維持し、女性天皇・女系天皇を可能にする場合には内親王・女王を親王・王と同様に扱う関連制度改正が必要だという点で意見が一致しました。
次回は、意見の集約に向けた議論を行うことになりました。
