第10回は、「今後の検討に向けた論点の整理」を了承し、家族制度と少子化を検討材料として確認した回でした
2005年7月26日、皇室典範に関する有識者会議の第10回会合が開かれました。
この回では、資料1「今後の検討に向けた論点の整理」案について議論のうえ、会議終了後に公表することが了承されました。
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また、資料2「家族に関する制度等について」、資料3「少子化の現状」について説明があり、それらに関しても意見交換が行われました。
第10回は、論点整理をまとめて公表する回であると同時に、家族制度や少子化という日本社会の変化を、今後の皇位継承制度の検討材料として確認する回でもありました。
論点整理は、どのような問いを立てたのか
論点整理は、皇位継承資格、皇位継承順位、皇族の範囲という三つの問いを、今後の検討の土台として示すものでした。
第10回では、論点整理の趣旨について、これまでの審議を整理し、今後、有識者会議として検討を進めるための一助とするものだと確認されました。
また、国民にも何が論点であるのかを示し、この問題への理解を深めてもらうための中立的な整理だと位置づけられました。
議事要旨では、この論点整理により、問いを客観的に立てることができたので、今後はこの問いにしたがって検討することになる、という意見が示されています。
ここでいう問いとは、主に三つです。
誰に皇位継承資格を認めるのか。
その資格者の中で、どの順番で継承するのか。
そのために、皇族の範囲をどう考えるのか。
つまり、第10回では、男系維持か女性・女系容認かという抽象的な賛否ではなく、皇位継承資格、皇位継承順位、皇族の範囲という制度設計の問いが、今後の検討の土台として確定したといえます。
世論を二分しない検討の仕方が意識された
第10回では、選択肢の背後にある要因ごとに検討し、世論を二分しない形で結論に向かうことが意識されました。
議事要旨では、このような社会的な問題については、ある選択肢の背後にある様々な要因ごとに、どこまで賛成できるか、どこからは賛成できないかを検討する態度が必要だとされています。
それによって、できるだけ世の中の意見を二分せずに結論に至ることが可能になるのではないか、という見方です。
男系維持か女性・女系容認かを単純に対立させるのではなく、皇位継承資格、皇位継承順位、皇族の範囲、国民の理解と支持、伝統、制度としての安定性など、複数の要素に分けて考えようとしていました。
関連制度も今後の検討対象とされた
皇位継承制度を見直す場合には、皇室経済制度や皇族配偶者に関連する制度なども検討対象になり得るとされました。
第10回では、論点整理の「その他関連制度」の部分についても、必要な場合には、皇室経済制度や皇族配偶者に関連する制度などについて検討を行うとされ、皇室経済制度や皇族配偶者以外にも検討すべき関連制度があるのではないかという点についても、今後議論を進める必要があるとされました。
皇位継承制度が、単に「誰が天皇になるか」だけの問題ではなく、皇族の範囲や婚姻後の身分、配偶者の扱い、皇室経済など、制度全体の組み替えを伴う可能性があるからです。
家族制度と少子化は、なぜ確認されたのか
家族制度と少子化は、皇位継承制度を考える際の社会的前提として確認されました。
第10回では、資料2「家族に関する制度等について」と資料3「少子化の現状」が説明されました。直接に皇位継承資格を決めるものではありませんが、男系、男子、家、氏、長男、女性の社会的位置、出生数などは、皇位継承論の背景にある重要な社会的条件です。
少子化は皇室とも無縁ではないとされた
少子化は皇室とも無縁ではなく、出生数について厳しめの予測を前提にする必要があると指摘されました。
意見交換では、子どもの数の減少に、女性の高学歴化、地域差、ライフスタイル、生物として子どもを産む力の低下などが関係しているのではないかという意見が出ています。また、東京都では合計特殊出生率が1を下回ることも指摘されています。
そのうえで、少子化は皇室とも無縁ではない、今後の議論では出生数などについて厳しめの予測を前提にすることも必要ではないか、という意見が示されました。
皇位継承資格者を安定的に確保できるかどうかは、理念だけではなく、出生数や家族のあり方という社会の現実と結びついているからです。
日本社会の変化も、検討の根拠とされた
第10回では、皇位継承制度を評価する根拠として、日本社会の変化や国民生活も考慮する必要があるとされました。
今後の議論では、どうしても要素ごとの評価が必要になり、その評価の根拠として、日本社会の変化も考慮する必要があるのではないか、という意見が出ました。
また、国民の理解と支持を得るという観点からは、国民の生活をある程度は視野に入れる必要もあるのではないか、という意見も示されています。論点整理の基本的視点である「国民の理解と支持」と関係します。
皇位継承制度は皇室の制度ですが、象徴天皇制のもとでは、国民の生活や社会意識の変化から切り離して考えることはできない、という方向が示されていました。
まとめるとどうなるか
2005年の皇室典範に関する有識者会議第10回では、「今後の検討に向けた論点の整理」案が了承され、会議終了後に公表されることになりました。
この論点整理は、これまでの審議を整理し、今後の検討の一助とするものです。同時に、国民に何が論点であるのかを示し、理解を深めてもらうための中立的な整理でもありました。
第10回では、論点整理によって問いが客観的に立てられ、今後はこの問いにしたがって検討を進めることになると受け止められていました。
また、皇室経済制度や皇族配偶者などの関連制度も、必要に応じて検討対象になることが確認されました。
さらに、家族制度と少子化に関する資料が説明され、少子化は皇室とも無縁ではないこと、出生数について厳しめの予測を前提にする必要があること、日本社会の変化や国民生活も制度評価の根拠になることが意識されました。
第10回は、論点整理を公表し、夏休み明け以降の本格的な検討に入るための節目の回だったといえます。
