皇室の費用は、どのような制度になっているのか

皇室の費用は「内廷費」「皇族費」「宮廷費」に分けられ、予算に計上されて国会の議決を経ます

皇室の費用は、憲法第88条により、すべて予算に計上して国会の議決を経なければならないとされています。

そのうえで、皇室経済法は、皇室の費用を「内廷費」「皇族費」「宮廷費」として予算に計上すると定めています。

この記事は、2005年の皇室典範に関する有識者会議第4回の資料「皇室経済制度」をもとに整理します。

皇室の費用は、何に分けられるのか

皇室の費用は、内廷費、皇族費、宮廷費の三つに分けられます。

内廷費は、天皇および内廷にある皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てられるものです。

皇族費は、内廷にある皇族以外の各皇族に対して、皇族としての品位保持の資に充てるため、年額により支出されるものです。

宮廷費は、内廷諸費以外の宮廷諸費に充てられるものです。儀式、国賓・公賓等の接遇、行幸啓、外国訪問、皇室用財産の管理、皇居等の施設整備などに必要な経費が含まれます。

内廷費とは何か

内廷費は、天皇および内廷にある皇族の日常の費用その他内廷諸費に充てられる費用です。

内廷費は、皇室経済法第4条に基づく費用です。

法律により定額が定められており、資料では、平成17年度の内廷費は3億2400万円とされています。

また、内廷費として支出されたものは御手元金となり、宮内庁の経理に属する公金とはされません。

ここが、宮廷費との大きな違いです。内廷費は、天皇および内廷皇族の日常生活などに充てられる費用として、御手元金になるものです。

皇族費とは何か

皇族費は、内廷にある皇族以外の各皇族に対して、皇族としての品位保持の資に充てるために支出される費用です。

皇族費は、皇室経済法第6条に基づく費用です。

各皇族ごとに、法律が定める定額を基礎として算定されます。資料では、平成17年度の皇族費総額は2億6967万円とされています。

皇族費も、内廷費と同じく、支出されたものは御手元金となり、宮内庁の経理に属する公金とはされません。

皇族費は、皇族の構成、独立の生計を営むかどうか、成年か未成年か、摂政に就任しているかどうかなどに応じて金額が変わります。

皇族費には、どのような区別があるのか

皇族費の額には、男女、世数、成年・未成年などによる区別があります。

資料では、皇族費について、いくつかの区別が示されています。

第一に、皇族男子と皇族女子との間で区別があります。独立の生計を営む内親王の皇族費は、独立の生計を営む親王の皇族費の2分の1とされています。

第二に、世数による区別があります。王、王妃、女王の皇族費は、それぞれ親王、親王妃、内親王の皇族費の10分の7とされています。

第三に、成年と未成年による区別があります。独立の生計を営まない親王等の皇族費は、未成年の場合は定額の10分の1ですが、成年に達すると定額の10分の3となります。

また、皇族が初めて独立の生計を営む際や、皇族がその身分を離れる際には、一時金として支出されるものもあります。

宮廷費とは何か

宮廷費は、儀式、接遇、行幸啓、外国訪問、皇室用財産の管理など、内廷諸費以外の宮廷諸費に充てられる費用です。

宮廷費は、皇室経済法第5条に基づく費用です。

資料では、平成17年度の宮廷費は62億7783万円とされています。

宮廷費の例としては、儀式、国賓・公賓等の接遇、行幸啓、外国訪問などに必要な経費、皇室用財産の管理に必要な経費、皇居等の施設整備に必要な経費が挙げられています。

内廷費や皇族費が御手元金となるのに対し、宮廷費は宮廷諸費に充てられる公的な経費として理解できます。

現在の額は、どうなっているのか

宮内庁によると、令和8年度の内廷費は3億2,400万円、皇族費総額は2億5,529万円、宮廷費は120億392万円です。

宮内庁の予算ページでは、令和8年度の内廷費は3億2,400万円、皇族費の定額は3,050万円、皇族費総額は2億5,529万円、宮廷費は120億392万円とされています。

なお、内廷費と皇族費は御手元金となり、宮内庁の経理する公金ではありません。これに対して、宮廷費は宮内庁の経理する公金です。

皇室経済制度は、皇族数の問題とどう関わるのか

皇室経済制度は、皇族数や皇族の構成が変わると、皇族費の総額や支出のあり方にも影響する制度です。

皇族費は、各皇族ごとに算定されます。そのため、皇族の人数や構成が変われば、皇族費の総額も変わります。

また、皇族費には、親王・内親王・王・女王という身位、成年か未成年か、独立の生計を営むかどうか、皇族の身分を離れるかどうかなどが関わります。

したがって、皇室経済制度は、単なる会計制度ではありません。皇族の範囲、皇族女子の婚姻離脱、皇族数の減少、皇族としての品位保持などと結びつく制度です。

この資料から、何が読み取れるのか

皇室経済制度は、皇室の費用を、私的な生活費に近い部分と、公的な活動・施設管理に関わる部分とに分けて整理する制度です。

内廷費と皇族費は、支出されると御手元金となり、宮内庁の経理に属する公金とはされません。これに対して、宮廷費は、儀式、接遇、行幸啓、外国訪問、皇室用財産の管理、施設整備などに充てられる費用です。

また、皇族費は、皇族の身位、性別、世数、成年・未成年、独立の生計を営むかどうかなどにより金額が変わります。

この資料からは、皇室経済制度が、皇室の費用を国会の議決を経る予算として扱いつつ、内廷費・皇族費・宮廷費という区分によって、生活、品位保持、公的活動を整理していることが読み取れます。

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