2005有識者会議の第14回では、何が話し合われたのか

第14回は、皇位継承資格を皇族女子や女系の皇族に拡大する方向を基本に、報告書の取りまとめへ進むことで意見が一致した回でした

2005年10月25日、皇室典範に関する有識者会議の第14回会合が開かれました。

この回では、意見の集約のための意見交換が行われました。

皇室典範に関する有識者会議(第14回)議事要旨

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第11回では皇位継承資格、第12回では皇位継承順位、第13回では皇族の範囲と関連制度が議論されました。

第14回は、それらの議論を踏まえ、報告書の取りまとめに向けて、会議としてどの方向へ進むかを確認する回でした。

憲法上の世襲は、どう考えられたのか

第14回では、憲法が定めているのは象徴制と世襲制であり、世襲だから当然に男系男子とはいえないという見方が示されました。

議事要旨では、憲法は象徴制と世襲制しか規定していないとされました。

そのため、「世襲だから当然に男系男子」という議論は、理論的には難しいという意見が出ています。

もちろん、125代にわたって男系で継承されてきたという事実はあります。

しかし、今回のように現行制度のままでは安定的な皇位継承が難しくなる事態に立ち至ったとき、憲法の角度から改めて考える必要があるとされました。

その場合、国民が世襲制の天皇について考えるのは、男系に固執することよりも、親から子へ、直系で受け継がれることではないかという見方が示されています。

象徴に性別はあるのか

天皇が国家・国民統合の象徴である以上、象徴に性別はないと考えるのが健全ではないかという意見が出されました。

第14回では、天皇は憲法上、国家・国民統合の象徴と定められていることが確認されました。

そのうえで、象徴に性別はないと考えるのが健全ではないかという意見が出ています。

これは、女性天皇・女系天皇を考える際に、天皇の象徴としての役割を、性別そのものによって制限する必要があるのかを問い直すものです。

第11回でも、女性天皇について、統合力、正統性、象徴としての活動に本質的な問題はないのではないかという意見が出ていました。

第14回では、その考え方が、意見集約の段階で改めて確認されていたといえます。

私的な伝承や家族観とは、どう切り分けられたのか

第14回では、私的な世界に多様な伝承や家族観があることを認めつつ、有識者会議が扱うのは公的制度としての皇位継承制度だと整理されました。

議事要旨では、皇族女子や女系皇族に皇位継承資格を拡大した場合、旧習や伝承、伝統的な家族の在り方に影響を与えるのかという問題が出されています。

しかし、それに対して、私的な世界ではいろいろな考え方や家族の在り方があるのは当然だとされました。

一方で、この有識者会議は、あくまで公的な制度である皇位継承制度について検討しているものだと整理されています。

つまり、女性天皇・女系天皇を可能にすることは、一般家庭の家族観や私的伝承を変えるよう強制するものではありません。

第14回では、公的制度としての皇位継承と、私的な家族観・伝承とを切り分けることが意識されていました。

男系男子要件は、なぜ見直し得るものとされたのか

男系男子要件は、憲法上の絶対条件ではなく、伝統に配慮して皇室典範に置かれた制度であり、維持できなくなった今は憲法に戻って考えるべきだとされました。

第14回では、現行憲法の制定時に、象徴と世襲に絞ったことは大きな歴史の変化であり、それを国民は受け入れているという意見が出ています。

また、憲法との関係では、皇室典範に男系男子と規定する必要はなかったが、それまでの伝統に配慮して男系男子としたものだという見方も示されました。

しかし、その制度が今は維持できなくなっている。

そのため、憲法に戻って考えるものだとされています。

ここでは、男系男子要件を、憲法上動かせない条件としてではなく、皇室典範上の制度として、安定的な皇位継承の観点から見直し得るものと捉えています。

女系天皇の正統性は、どう考えられたのか

女系の皇族に皇位継承資格を拡大しても、世襲で皇位が継承され、国民の積極的な支持が得られる限り、正統性に疑義は生じないとされました。

第14回では、女系の皇族に皇位継承資格を拡大した場合、女系天皇の正統性に疑問が生じるという議論についても意見が出ています。

これに対し、世襲で皇位が継承され、国民の積極的な支持が得られる限り、正統性に疑義が生じる余地はないとされました。

ここで重視されているのは、男系であることだけではありません。

憲法上の世襲、国民の支持、象徴としての受容が結びつくことによって、皇位継承の正統性を考えるという方向です。

これは、第14回の意見集約で、女系天皇を制度上可能にする方向を支える重要な考え方です。

男系男子維持策の安定性は、どう評価されたのか

男系男子維持策については、少子化や複数配偶制の否定のもとでは極めて不安定であり、旧皇族復帰も国民の理解を得にくいと評価されました。

第14回では、現行典範を改めずに男系男子で行けるのかという点から考えると、複数配偶制の否定や少子化の状況の中で、男系男子の数は確率的に極めて少なくなることが明らかになったとされています。

仮に旧皇族が復帰したとしても、そのような状況では、制度として極めて不安定なものになるとされました。

また、皇籍復帰して皇位を継承することは、これまでの歴史の中で極めて異例であり、国民の理解も得られないと考えざるを得ないという意見も出ています。

ここでは、男系男子維持策が、単に伝統に沿うかどうかではなく、安定性と国民の理解の観点から評価されています。

国民の支持は、どのように位置づけられたのか

第14回では、世論調査の割合だけで決めるのではなく、象徴天皇制が国民の一般的な共感と支持を必要とする制度であることを踏まえ、筋の通った結論を示す必要があるとされました。

議事要旨では、世論調査で何割だからどうという発想をとるべきではないという考え方が示されています。

一方で、象徴天皇の制度は、国民の一般的な共感と支持がなければ存続できないものであり、それを無視することはできないともされています。

そのため、現状がどうなのか、このままだと憲法上の象徴天皇制度がどうなるのかを考え、有識者会議として筋を通した結論を出すことで、国民にも理解してもらえるようにする、という方向が示されました。

国民の支持は、単なる多数決の数字ではなく、象徴天皇制を支える基盤として位置づけられていました。

報告書の取りまとめでは、何が意識されたのか

報告書の作成では、国民に受け入れてもらえるよう、表現を含めて工夫する必要があるとされました。

第14回では、有識者会議の結論に対する国民の支持は、手続的には国会で議論してもらうことだとされました。

しかし、有識者会議としても、国民の支持が最大限得られるよう努力し、その結論が国民の意識と乖離しないことを意識して議論を進めてきたとされています。

今後報告書を作成するに当たっては、多くの国民に受け入れてもらえるよう、表現なども含めて工夫する必要があるという意見も出ました。

また、この問題について早期に結論を得る必要があることも、国民に理解してもらいたいとされています。

第14回は、制度上の方向だけでなく、報告書をどう社会に示すかも意識した回でした。

どの点で意見が一致したのか

皇位継承資格を皇族女子や女系の皇族に拡大する方向を基本に、報告書を取りまとめることで意見が一致しました。

第14回の結論として、これまでの議論を踏まえ、皇位継承資格を皇族女子や女系の皇族に拡大する方向を基本に、報告書の取りまとめに向けた作業を進めることで意見の一致を見たとされています。

これは、2005年有識者会議の大きな転換点です。

第11回から第13回まで、皇位継承資格、皇位継承順位、皇族の範囲と関連制度が検討されました。

そのうえで、第14回では、男系男子要件を維持する方向ではなく、皇族女子や女系の皇族に皇位継承資格を拡大する方向を基本にすることが確認されました。

何がまだ残されたのか

皇位継承順位では長子優先か兄弟姉妹間男子優先か、皇族の範囲では永世皇族制か世数限定制かが、なお集約すべき論点として残されました。

第14回で意見が一致したのは、皇位継承資格を皇族女子や女系の皇族に拡大する方向を基本にすることでした。

しかし、すべての論点が決まったわけではありません。

皇位継承順位については、長子優先か兄弟姉妹間男子優先かという点について、今後、報告書を議論する中で意見を集約することになりました。

また、皇族の範囲についても、永世皇族制か世数限定制かという点について、同じく報告書の議論の中で意見を集約することになりました。

つまり、第14回では、皇位継承資格の方向は固まりましたが、順位と皇族の範囲は、報告書案の議論に持ち越されました。

まとめるとどうなるか

第14回は、意見の集約に向けた議論を行った回でした。

憲法は象徴制と世襲制を定めているが、世襲だから当然に男系男子とはいえないこと、象徴に性別はないと考えられること、公的制度としての皇位継承制度と私的な家族観・伝承は切り分けるべきことが確認されました。

また、男系男子要件は、憲法上の絶対条件ではなく、伝統に配慮して皇室典範に置かれた制度であり、それが維持できなくなっている以上、憲法に戻って考えるべきだという見方が示されました。

女系天皇については、世襲で皇位が継承され、国民の積極的な支持が得られる限り、正統性に疑義は生じないとされました。

一方、男系男子維持策については、複数配偶制の否定や少子化のもとで極めて不安定であり、旧皇族復帰も国民の理解を得にくいと評価されました。

その結果、第14回では、皇位継承資格を皇族女子や女系の皇族に拡大する方向を基本に、報告書の取りまとめに向けた作業を進めることで意見が一致しました。

ただし、皇位継承順位については長子優先か兄弟姉妹間男子優先か、皇族の範囲については永世皇族制か世数限定制かが、報告書案の議論に持ち越されました。

次回は、報告書案を議論しつつ、皇位継承順位と皇族の範囲について意見を集約することになりました。

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