櫻井よしこさんは、2012有識者ヒアリングで何を述べたか

櫻井よしこさんは、皇室を祈る存在と位置づけ、女性皇族の活動継続には賛成しつつ、女性宮家創設には反対し、旧皇族の皇族復帰と養子制度を提案しました

櫻井よしこさんは、2012年4月10日の第3回「皇室制度に関する有識者ヒアリング」で、ジャーナリストとして意見を述べました。

櫻井さんの発言は、少し変則的です。

政府のヒアリングは、女性皇族が婚姻後も皇族の身分を保持する場合の制度のあり方を検討するために行われました。

しかし櫻井さんは、女性皇族が結婚後も皇室の近くで生き生きと活動することには賛成しながら、一般民間人との結婚を前提とする女性宮家の創設には反対しました。

その理由は、女性宮家が女系天皇につながりかねず、皇位継承問題と切り離せないと考えたからです。

櫻井さんは、皇族数減少への対応は必要だと認めています。

ただし、その方策は女性宮家ではなく、皇室典範9条を改正して養子を可能にし、旧皇族の男系男子に皇族へ復帰してもらうことだと述べました。

皇室制度に関する有識者ヒアリング 第3回 議事録

櫻井よしこ「女性宮家問題について」

どの質問事項に対応する発言だったのか

櫻井よしこさんの発言は、質問事項全体に触れていますが、中心は「1.象徴天皇制度と皇室の御活動の意義について」「2.今後、皇室の御活動の維持が困難となることについて」「3.皇室の御活動維持の方策について」です。

また、女性宮家に反対する理由として、配偶者や子の身分、一代限りの宮家の難しさを論じているため、「4.女性皇族に婚姻後も皇族の身分を保持いただくとする場合の制度のあり方について」にも深く関わります。

ただし、櫻井さんの特徴は、政府の設問をそのまま受け入れるのではなく、女性宮家問題と皇位継承問題は切り離せないと見た点にあります。

皇室の活動をどう説明したのか

皇室を、国家・国民の安寧を祈る存在、日本の精神的支柱として説明しました。

櫻井さんは、東日本大震災後の天皇の言葉を挙げ、皇室こそ日本の精神的支柱であると感じたと述べました。

国家が危機に直面したとき、国民が困難の中にあるとき、皇室は国家・国民の安寧と無事を祈ってきたと見ています。

また、順徳天皇の『禁秘御抄』に触れ、皇室では神事を第一とし、その後に他のことを行うというあり方が長く続いてきたと説明しました。

そのため、櫻井さんにとって、天皇の最重要の役割は祭祀です。

祭祀を皇室の私的行為とみなす戦後のあり方には疑問を示し、むしろ祭祀こそ天皇の御公務として定義し直すべきだと述べました。

御公務の負担について、何を述べたのか

御公務負担の軽減には、女性宮家創設の前に、御公務そのものの再定義が必要だと述べました。

櫻井さんは、天皇の御公務が膨大になり、高齢の身体に負担がかかっていることを認めています。

しかし、その解決策として、ただちに女性宮家を創設するという考え方には反対しました。

まず必要なのは、御公務の再定義だと考えたからです。

天皇の最重要の役割は祭祀であり、祭祀を御公務として位置づけたうえで、その他の国事行為や象徴としての行為を優先度によって分類する。

そのうえで、どうしても天皇でなければならないものを除き、皇太子や秋篠宮に分担してもらう工夫が必要だと述べました。

女性宮家について、なぜ反対したのか

一般民間人との結婚を前提とする女性宮家は、女系天皇につながりかねず、皇室の本質を変えるおそれがあるとして反対しました。

櫻井さんは、皇族数が減少し、悠仁親王が将来ひとりで皇室を担う状況が生まれかねないことを認めました。

そのため、過不足のない数の皇族を天皇の周りに配置する必要があり、皇室典範改正は避けられないとも述べています。

しかし、改正は皇室の本質に沿ったものでなければならないとしました。

櫻井さんは、一般民間人との結婚を前提とする女性宮家は、皇室の本質を根本から変える女系天皇につながりかねないと考えました。

女性宮家で民間人を父とする子が生まれ、その子が皇位につく場合は女系天皇になる。

そうなれば、男系男子の天皇、あるいは男系の女性天皇でつないできた伝統が断絶すると述べました。

女性宮家と皇位継承問題は切り離せるのか

女性宮家問題と皇位継承問題は、表裏一体であり、切り離せないと述べました。

政府は、女性宮家問題を皇位継承問題とは切り離して論じるという建付けをとっていました。

これに対して櫻井さんは、その設問自体に無理があると述べました。

女性宮家問題は皇室典範12条の問題であり、皇位継承は皇室典範1条の問題だから別問題だという見方に対しても、疑問を示しました。

1条が変わらない限り問題はない、という理屈は成り立つとしても、将来1条が改正されない保証はないと考えたからです。

櫻井さんは、女性宮家創設が、いずれ皇室典範1条の改正や女系天皇容認につながる可能性を警戒しました。

そのため、女性宮家問題と皇位継承問題は切り離せず、表裏一体だと述べました。

一代限りの女性宮家について、何を問題にしたのか

一代限りの女性宮家は、親子の身分や姓、生活をばらばらにするもので、制度として無理があると述べました。

女性宮家を皇位継承問題と切り離すために、一代限りの女性宮家を考える案もあります。

櫻井さんは、この案にも反対しました。

女性皇族と結婚する民間人男性の姓はどうなるのか。

身辺警護や生活はどうなるのか。

両親が皇族で、子が民間人である場合、その子には姓を与えるのか。

櫻井さんは、このような問題を挙げ、同じ家族でありながら、身分や生活がばらばらになる状況を押し付けることになると批判しました。

また、歴史的にも、一代限りの皇族制度はやがて崩れていったと述べました。

親と子を身分で切り離して扱うことは、結局は無理があるという見方です。

女性皇族の活動継続について、どう考えたのか

女性皇族が婚姻後も皇室の近くで活動することには賛成しつつ、身分は民間人とし、終身称号と経済的支援を与える案を示しました。

櫻井さんは、女性皇族が結婚後も皇室の近くで生き生きと活動することには賛成しました。

眞子内親王、佳子内親王、彬子女王らが活動することは、皇室の未来に明るい力を与えると見ています。

ただし、その身分は、日本の伝統にのっとって、皇籍を離れるのが順当だと述べました。

そのうえで、内親王や女王などの称号を生涯にわたって使えるようにし、結婚後も格式を保てるような経済的支援を行う案を示しました。

つまり、櫻井さんの案は、女性皇族を皇族として残すのではなく、民間人となった後も、終身称号と支援によって皇室の周辺で活動できるようにするものです。

皇族数確保の方策として、何を提案したのか

皇室典範9条を改正して養子を可能にし、旧皇族の男系男子に皇族へ復帰してもらうことを提案しました。

櫻井さんは、皇族数確保の方策として、女性宮家ではなく、旧皇族の皇族復帰を提案しました。

戦後、GHQの占領政策のもとで11宮家が皇籍を離脱したことを重視しています。

そのうえで、かつて皇族数が多すぎたときには臣籍降下によって皇族数を減らしたのだから、現在のように皇族数が少なすぎる状況では、逆に旧皇族に戻ってもらうことを考えるべきだと述べました。

具体的には、皇室典範9条を改正し、養子を可能にすることを提案しました。

旧皇族の中には、男系男子の血筋を伝える方々が複数いるとし、そうした方々に家族養子となってもらう、あるいは新たな法整備によって皇族に復帰してもらうことを考えるべきだと述べました。

まとめるとどうなるか

櫻井よしこさんのヒアリングは、女性宮家創設への反対を軸にしつつ、皇族数確保の別の方策を示すものでした。

櫻井さんは、皇室を、国家・国民の安寧を祈る存在、日本の精神的支柱として説明しました。

そのため、御公務負担の軽減についても、まず祭祀を天皇の最重要の役割として御公務に位置づけ直し、その他の御活動を分類するべきだと考えました。

皇族数減少には危機感を示し、皇室典範改正の必要性も認めました。

しかし、一般民間人との結婚を前提とする女性宮家は、女系天皇につながりかねず、皇位継承問題と切り離せないとして反対しました。

女性皇族の活動継続については、皇籍を離れた民間人として、内親王・女王などの終身称号と経済的支援を受けながら、皇室の近くで活動する案を示しました。

皇族数確保の方策としては、皇室典範9条を改正して養子を可能にし、旧皇族の男系男子に皇族へ復帰してもらうことを提案しました。

つまり、櫻井よしこさんの意見は、女性皇族の活動継続は認めつつ、女性宮家ではなく、旧皇族復帰と養子制度によって、男系皇統を維持しながら皇室を支える体制を整えるべきだというものでした。

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